予定日からの遅延
備えあれば・・・
安産と胎教の一環に【三陰交】のお灸を16週目以降からすえて来た人でも、正確な予定日の一週間前からは、左右の【至陰】というツボにも5壮ずつお灸を加えます。
また、鍼灸医療に馴染みがなく臨月まで【三陰交】のお灸をすえていなかった妊婦さんは、両方のツボ【至陰】に5壮、【三陰交】に5~10壮ずつ、左右ともに予定日の一週間前から米粒の半分程度の小灸をすえます。
このように予定日の事前からお灸をすることは、初産の妊婦さんにとっては身体的には勿論のこと、心理的にもお産がスムーズに出来るという効果が起り、不安感を少しでも解消することが出来ます。
なお、事前にお灸をしていなかった人が予定日になっても陣痛が起こらなければ、その日から始めればよいのです。
※5~10壮ずつとあるのは、お灸に対する妊婦さんの感受性によります。
お灸をすえてもらった時、心地良く感じるのであれば10壮、気持ち良さが分からなければ5壮でも良いということです。
しかし、お産の日を目の前にして、余程お灸をすえ馴れている人を除いては、自己流でお灸をすえるのは、あまり賢明ではありません。鍼灸院にてお灸治療を受診すべきでしょう。そのためにも事前にお灸治療を受けておくことをお薦めしたいですね。
症例
『私の体にはお灸が一番』と、日頃ご自分でお灸をすえている婦人が治療後に、
『私の姪が予定日から10日過ぎても陣痛が起こらないと心配していたので、「その時が来ればちゃんと産まれるから」と言いましたが、初めてのお産の時は誰でも不安なもんですね』と話された。
私は【至陰】と【三陰交】のお灸の効果を説明し、半米粒大の小さめのモグサを作り、『是非すえてあげると良い、安産できるはずだから』とその部位を教えた。
翌日来院され、
『昨日早速出向いて私のお灸の痕を見せながら、安産できるお灸を聞いて来たからすえると良い、こんな小さいお灸で充分効果があると作ってもらってきた』と話されると、姪御さんは素直にすえてもらわれ、『今朝の2時頃に陣痛が始まって、6時に安産で元気な女の子が産まれ喜んでいました』と、わざわざ報告にみえた。
このように、これから始まる事態に対して、よりベターな状況を生み出す知恵を実践し、来たるべき事態に備えてこそ最善を尽くす賢明な姿勢でしょう。