胎教の意義
始まっている子育て
メルマガ:《安産への道しるべ》【 胎教:寝る子は育つ 】44号より
妊娠ライフの過ごし方が新生児の人格形成や体格・体質形成に深く関わりがあることは、最近の研究からも明らかになってきました。つまり、【胎教】に対する認識である。
東洋医学は、様々な疾病に対応可能なだけではなく、体に優しい素晴らしい医療だと日々の臨床を通して実感していますが、この特徴は妊娠ライフ・出産にお勧めしたい医療の特質でもある。
同業の鍼灸師から冷笑されようと、私が妊娠ライフ・お産に強い感心を寄せる理由は、出産後に体調を崩されているお母さん達が驚くほど多いからであり、その事実は来院されている方々が訴えられている事実なのである。
その上、治療の機会は極めて少なく実態は分かりませんが、子どもさんにもその影響は少なからずあるはずだ、と推測するからに他なりません。
先人達は元気な子どもを観察して【寝る子は育つ】と指摘しました。
面白い?話を紹介しましょう。
結婚されて2年、生理不順の愁訴で来院され、6ヶ月後めでたく妊娠されて私が薦めている「おへそ」への温灸、そして、16週目からは【三陰交】のお灸をすえ始め、お産当日まで続けられた方の話です。(半身浴・散歩も実行)
産婦人科での定期検診の時、エコーで赤ちゃんを診察されていた医師から、
『いつもよく眠っている赤ちゃんだなぁ~』と、感心されていたという。
ビデオでも大きな「あくび」をしている様子がハッキリと写っているのを見て、
『とても微笑ましかったです。』と、当時の様子を思い出しながら話してくれた。
その子どもさんはとても安産で産まれ、お母さんも感動一杯の素晴らしいお産でした。と連絡を頂き、現在は子育てを楽しんでいます。と報告してくれています。
早いものでお産から1年6ヶ月になるそうですが、今日まで軽い風邪をひいた程度で本当にスクスクと育っている様子です。その元気さは、運動神経も抜群で5歳児ができる運動レベル「でんぐり返り」を見事にやってみせ、ぶら下がれる処があれば片手でもぶら下がり、お母さん達をビックリさせているそうです。
本人は、よく食べよく眠りその結果よく遊び、あまり愚図ることはないそうで、『寝起きが良いのは、グッスリ眠っているからでしょう』と。
私はこの話を聞いて、先人達が指摘した【寝る子は育つ】とは胎児の時も含んだ言葉なんだ、と教えられました。
つまり、元気な子どもさんは胎児の時からグッスリ寝ているという事実です。
胎児は暖かくてしっかりとした太い親子の絆が結ばれていることを実感しているからこそ、安心してお母さんの子宮で眠れるのだろうなぁ~と、胎教が及ぼす様々な影響を教えられた思いだった。
また、この女の子もメルマガ39号の【大器晩成が人類の特徴】の中で紹介した子どもさんと同様、1歳6ヶ月の検診時、『乳歯は8本だけしか、まだ生えていませんでした』とのことである。そのことは決して早熟ではない証である。
先人達が観察して伝えてくれた【寝る子は育つ】という事実を、お産・育児に生かすならば、赤ちゃんがお腹の中からグッスリ眠れるように配慮してあげることが必要でしょう。
では、良い睡眠が出来易い配慮とは?を考えれば色々あるでしょうが、日々の臨床を通して感じていることから提案してみます。
誰でもご存知ですが、子どもは眠たくなった時には手足が暖かくなってきます。大人の体と違い、幼児の体は正直に反応を起こすのです。つまり、眠りを必要とする時には、体は手足が暖かくなり、反対に冷たい時は、眠り難いものです。
胎児が心地良い眠りを約束される条件も同じのはずです。最も大事なことは、お母さんの心の安定ですが、次いで大事な要素は【冷え】が無いことです。その意味からも、半身浴や安定期からの【三陰交】へのお灸・絹製の靴下の重ね履き・散歩は、赤ちゃんへの良い睡眠に役立ちます。
その理由は、いずれの方法も気持がリラックスするために役立ち、下半身、特に足先の冷えを解消して、腰部の保温に効果的な方法だからである。
私事になりますが鍼灸治療に際して、治療の前後には必ず足先を触ります。冷えの状態をおおまかに把握するためであり、最寄の駅から歩いて来られたのか、車で来院されたのかを判断できます。
それは足先の【冷え】の状態が違うからであり、その事実からも歩くことがどれほど体に良い影響を及ぼすかを是非知って頂きたいものである。
少し専門的なことになりますが、鍼灸治療とは何か?の問いに対して、私は《気の巡りを正すこと。》と理解していますが、治療後の足の暖かさはとても重要なことなのである。治療中眠ってしまいそうな心地良い感じで、実際にスースーと眠ってしまう方も居られますが、そのようなケースでは治療効果がより高いのである。
私が妊婦さんに散歩を薦める理由の一つはそこにあります。
適度な散歩は、鍼灸治療が目指している本治法の効果とよく似た状態を創り出すからである。
お腹の赤ちゃんがゆりかごに揺られているように、お母さんのゆったりとした歩みに身を委ねて眠っている様子は、考えただけでも心地良さそうに思う。
胎児の心地良い眠りこそ心身を養うには最適なはずであり、先人達は簡潔に【寝る子は育つ】と、表した言葉には多くの示唆を含んだ思慮深さを強く感じるのである。
少しはそのような思いで、お腹の赤ちゃんに子守歌を歌ってあげながら、散歩されるのは如何であろう・・・。
※ 16週目以降の安定期に入れば、鍼灸院にて診察を受けられて【三陰交】のお灸を胎教の一環に加えられるようお薦めしています。