生姜灸
とっても 気持ちいい~
ここでは、【八リョウ穴】というツボへの生姜を使用した隔物灸という方法を紹介する。また、コンニャクを使用した仙骨部への温湿布も、広義の意味で【八リョウ穴】へのお灸と考えることも出来る。
具体的な方法を紹介する前に、第1章《卵子への応援》で述べたことを、少し補足しておこう。
卵胞が充分に成育して生命力溢れる卵子となって卵巣から旅立つには、成育する僅か2週間に、体に対してどのような配慮をしてあげることが出来るのか?
私の携わっている鍼灸治療では、何ができるのだろう?
そのような思いを持ちながら、日々臨床に携わっていた私にとって、とても興味深い体の反応があることを知った。
Oさんは、続発性不妊を訴えて来院されるようになり、可愛い女の子が授かった以降も、健康管理のために月に1~2度通院されていて、自宅でのお灸も指示している人である。
ある日の治療後、月経が始まってから卵子が生まれてくるまでの期間、臀部の中央付近にある【八リョウ穴】へのお灸が、とても心地良いと話された。更に興味深い反応は、その心地良さは卵胞が成育する卵巣側であり、「反対側は心地良さが少なく熱いです」という。
この現象は当然ながら、翌月には反対側の卵巣の卵胞が育つことから、「前月とは反対側のツボが心地良く感じます」と逆の反応になるという。
この体からのシグナルは、何を意味しているのだろう?
私には【八リョウ穴】へのお灸が《卵子への応援》となっているはずだ。と推測することが出来た。
以後、そのことを念頭に置いて追試を重ねた結果、妊娠の序曲である卵胞の成育に適切な応援の一つに、【八リョウ穴】へのお灸があることを臨床を通して確信するようになった。
そして、その効果に満足すべき成果を得ていたので、不妊を訴えて来院された人達には、家庭でも実践可能で効果が大きい生姜を使用した隔物灸を【八リョウ穴】にするように指示している。
☆ 具体的なお灸方法 ☆
【八リョウ穴】へは、鍼灸院にて正確なツボを選穴してもらい、心地良く感じる側へ米粒の半分~3分の1程度の小さなお灸を、5回~7回ずつすえる。せんねん灸をすえる場合には、1回ずつで良い。
また、お灸の痕が気になる方、または、お灸が苦手な方は生姜を6mm程度にスライスして、その上から温灸用のもぐさによる隔物灸をされるといいだろう。
★生命力溢れる卵子を、快適な卵巣で健やかに成育してもらおう★
このような考えを基に【八リョウ穴】のお灸を体創りの一つとして、鍼灸師の立場からお薦めしたいのだ。