基礎体温測定は不可欠?
なんだか ストレスなんだけど
不妊治療では常識となっている基礎体温測定について、水平思考で考察してみよう。
もしかして不妊? という不安が心の中に芽生えた時、婦人科への通院がスタートする。そしてこの時点から、基礎体温測定が義務付けられた日々がはじまる。
基礎体温からは次のような情報を得ることができるからである。
1:月経を予知することができる。
基礎体温が、低温期と高温期の二相に分かれている場合は、排卵後、高温期が約2週間続いた後に月経がはじまる。
2:排卵の有無を確かめることができる。
基礎体温が、低温期から高温期に変わるとき、いったん体温が下がる時期がある。その前後2日間に排卵が起こるとされている。月経があっても高温期がない場合は、無排卵性月経の疑いがある。
3:妊娠し易い時期を知ることができる。
基礎体温を記録し続けていくと、排卵日の予想がある程度できるようになる。
4:妊娠の診断や分娩日を予想することができる。
測定によって以上のような情報を得ることができるが、それでも私は必要不可欠なことだろうか?と問い掛けたいのだ。
何故なら、もっと大きなデメリットを日々の臨床を通して痛感しているからである。
当院へ不妊を訴えて来院される方の中には、何年間も測定されている基礎体温表を持参された人は決して少なくない。不妊治療には不可欠だとされているからである。
私が測定に関心が少ない理由は種々あるが、最も大きな理由は、本人の精神的ストレスを無視出来ないからである。勿論、ある一定期間(3ヶ月程度)の測定が必要なケースはあるだろう。
しかし、私が指摘したいのは、測定による精神的及び肉体的ストレスをフォローすることなく、強要している現状に疑問が残るのである。私見を述べるだけではなく生の声として、頂いたメールから基礎体温の問題を考えてみよう。
次のようなメールも頂いている。
こんにちは、広島の○○です。
「基礎体温に対する私見」読みました。私もつい最近、計るのを止めたところです。排卵日を気にするあまりイライラしてしまい、返って逆効果なことが多かったように思えたからです。
最初に妊娠した時は基礎体温は付けてなく、おりものの状態でわかっていた様に思います。それが流産してから神経質になって病院で当たり前のように言われたのもあり、毎日付けていました。
不思議な事に避妊をしてるときは、計っていても体の反応(おりもの)はきっちりあったのに、さー子作り開始とあのグラフと日々にらめっこするようになって、体の反応がはっきりとしてくれなくなりました。そんな自分に苛立ち、ほんとに悪循環ですよね・・・。
でも、止めちゃうと益々排卵されているのかもわからなくなる・・・という不安から何となく続けていました。自分の体のことなのに、結局あのグラフに振り回されてしまって、大事なことを忘れていたんですよね。
先月初めて先生のところで治療してもらった日に生理になりましたが、いつもは「くるぞ」って感じなのに「来てました」って感じだったので、ちょっとびっくり。
今度の生理の反応にちょっぴり期待してまーす。 それでは、またメールします。
基礎体温測定は、心理的に大きな影響を与えているケースがあることをお分かり頂けると思う。
だが、基礎体温測定には、もう一つ付随して大きな問題を抱かえているのである。それは、先程紹介した測定によって得られる情報に基づいた、タイミング法に拘わることである。伝言板への書き込みを紹介しましょう。
●初めまして / パールさん
こんばんは。
私もしばらくタイミング法で、様子を見ていたものです。やはり、月で1番気になる時期ですよね~。でもね、ここで体創りを始めて病院にも行かず、たまたま体温計が壊れてて基礎体温あてにせず、適当に仲良くした月に赤ちゃん来てくれたんですぅ。
で、検査で病院に行った時に「排卵が3日くらい遅れたんだね」と言われて、体温と卵が同時期ではないのかぁ!!とショックを受けたんですよ。
だっていつもドンぴしゃ以降仲良くしてなかったから・・。だからねぇ、難しいですよね。タイミングゥ~・・・
だから浅知恵???
●う~ん… / ちゅらさん
皆さんの御意見深く考えさせられます。
基礎体温表もつけ始めの頃は気楽なものだったのに、いつしか必死になって見入るようになっている自分がいました。完全に基礎体温表、タイミング法なるものに振り回されていました。
排卵時期に普段は仲良しの旦那さんとしなくていい喧嘩をしたことも数知れず…
なんかそんな自分がまた凄く情けなくって。自己嫌悪に陥ってたところだったんです~ 少し、基礎体温表お休みしてみようかな。
●う~ん・・・ちゅらさん。 / ことぶき
>しなくていい喧嘩をしたことも数知れず・・・
《その喧嘩、犬も食わない。》
『あっ、間違った。』
《その喧嘩、こうのとりは食わない。》
●浅知恵のタイミング法について / ゆかりんさん
パールさん、えみぽんさん、こんにちは。
そうなんですよ!タイミングってアテにならないですよね。私も不妊期間中、基礎体温をつけるように義務づけられてましたが排卵後の急降下の日には、精神的にも朝からストーンと落とされた気分で辛かったことを思い出します。
荻野博士には申し訳ないけど、「私には基礎体温表は逆効果!!」と思い、ある日(こちらでことぶき先生に相談にのってもらって、妊娠に対する自意識が目から鱗になった日)ピタッと気にも止めなくなりました。
それ以来、排卵がいつかも気にしないで主人にも排卵日を伝えない生活をおくりました。タイミングって、結構御主人の方にもプレッシャーになるみたいですよ。
でもお蔭で出産予定日の算定もアヤフヤでしたけど・・・(最終月経がいつだったかも解からなくて)
「妊娠の主役はこうのとりさん」ですよね、ことぶき先生!?
寺子屋伝言板《治療室から》に、基礎体温測定とタイミング法をテーマに【恋は盲目なり】の題名で、次のような私見を述べた。
薬は通常、強い・弱いのレベルはあるが、概ね主作用と副作用がある。そのために妊婦さんは、薬の服用に際して慎重になるのだろう。私は主作用・副作用については、様々な視点で捉えるべきだと考えている。その一つを考えてみよう。
多くの人達がその副作用について、何故気が付かないのだろう?と疑問に感じるものの一つに基礎体温測定がある。そして、私なりにその答えを推測し、結論を得た。
『現代医学に恋をしているのだ。』と。
恋は人を盲目にするため、副作用に気付いていないと思えるのだ。この意味の副作用とは、薬に対する主作用と副作用のことではない。具体的に話そう。
基礎体温からは、様々な情報を得ることが出来、治療方針に寄与する。薬でいえば主作用である。しかし、妊娠を望んでいる人にとって、毎日、基礎体温とにらめっこして、一喜一憂することによる心理的負担はどの程度なのだろう? 主作用と比較して心理的葛藤は、取るに足らないレベルなのだろうか? それとも、その心理状態を副作用と認識する必要はないのだろうか?
私が『主作用・副作用というテーマは、様々な視点から考察すべきだ』と主張するのはその点である。決して薬だけに限定したテーマではないはずである。
タイミング法も然りである。
私は現代不妊治療の実態は全くと言っていい程知らない。来院されている方々から察する程度である。
『この日とこの日に仲良くして下さい』とドクターからの指示があるという。その指示は薬で言えば主作用に該当する。
しかし、それには大きな副作用が伴なっていることを知らなければならない。その副作用とは?
当人の二人が実感されているはずである。如何であろう・・。
まだまだ指摘したい副作用は山ほどある。
しかし、いつまでも恋する相手を間違えて欲しくない。
【恋は盲目なり】となる相手は高度不妊治療ではなく、あなたの掛け替えのない旦那さんなのだ。
主作用・副作用は様々な視点から考察すべきだ。と主張している真意を少しはご理解願えるであろうか・・・。
妊娠された方々の書き込みの中でも、そのストレスは決して無視出来ないレベルであったことを述べられている。
こうのとりの願いには、人夫々にいろいろなケースがあるだろう。
しかし、基礎体温の測定を止めたことにより、ストレスから解放されて妊娠された方々が多いのは事実である。
基礎体温測定における副作用の問題点を、書き込みの中で指摘されている人達を代表して、ベリーベリーさんの報告を紹介しよう。
こうのとりはイライラすることなく仲良くして欲しいと、きっと願っているはずなのだ。
●ご無沙汰してます。 / ベリ-ベリ-さん
散歩、半身欲、お灸、節食を出来る範囲でボチボチやってます。
今まで日課となっていた基礎体温を止めてみました。
習慣になっていたので負担になっていないと思っていたのですが、止めてみたらなんとも楽なんです。
毎朝その数値を見て微妙に気持ちが揺れていたんですね・・・
体の声を聞いていたつもりだったのに、いまだにその数値に頼っていたというか、目で見たもので体調の確認をしようとしてたんだなということに気付きました。
「あっ、また下がった・・・」なんて小さな気持ちの揺れが体にも影響していたんだと思います。まだまだ未熟者でした。
でも今回は良い生理がきそうなんです。楽しみ・・・。
(前回の書き込みから約1ヶ月後、妊娠報告の書き込みを頂いた。)
●『祝!!開通』 / ベリ-ベリ-さん
このたび我が家にもこうのとりさんがやってきてくれましたぁ~。
……無理なく自分の出来る範囲で楽しく体創りをしておりました。そんな時こうのとりさんは舞い降りてきてくれました。
タイトルに『祝!開通』としましたのは、私は子宮外妊娠で片方卵管切除しており、残りの卵管も癒着していました。
でも『妊娠するときは、詰まっている卵管も体は通してくれはる』のことぶき先生の言葉通り、楽しく生活していたら(ここ数ヶ月は本当に楽しかったのです)めでたく卵管開通してくれました。
先生のおっしゃる事は本当だったなぁと実感しております。
良いと言われることはすべて試して見たいと、それが妊娠への近道だと思った時期もありました。でもこちらで、一番大切なのは自分の体を知る事だと教えて頂きました。
今妊娠しないのも、きっと意味のあることだから、いつか私は妊娠できるんだから・・・と思えるようになりました。
まったく妊娠を意識していない力の抜け具合がかえって良かったのかと思ったりしています。妊娠するときの体は何にも心配しなくても大丈夫なんだなと思います。
やっぱり私が妊娠する時期は、今だったんだと強く感じています。
妊娠報告の書き込みから、基礎体温測定に触れられている個所を抜粋して、紹介しましょう。
●赤ちゃんがきてくれました。 / ルカさん
ご報告がだいぶ遅くなったのですが・・・今15週くらいです!
基礎体温もつけるのをやめて、体を冷やさないように心がけていました。
前の私は今月もダメだった~と落ち込み、いつもカリカリして毎日基礎体温計とにらめっこ!
そして、主人ともそれが原因でケンカばかり。
このホームページに出会ってからは何よりも心の中のしこりがとれたような気がします。
●なーりんさんから
先日、主人に聞いてみました。
「今回、こうのとりさんが授けてくれたのは、何がよかったと思う?」
「漢方飲んで、基礎体温検温とか排卵日チェックとかせずに、生理が来る日も忘れるくらい、楽しそうに過ごしていたからじゃないかな」と。
基礎体温測定に関する書き込みは実に多い。測定する? しない? は、どちらがベターなのか? それは、あなたが自分の心と体に問い掛けて、決める問題なのかも知れない・・。