漢門堂
当院では入江FT塾で学んだフィンガーテスト(FT)で身体の異常を検出し入江治療システムでその異常反応を消去しています。
FTとは、オーリングテストでも検出される身体の微小な病的反応を、より早く、スムーズに、精度を高めた検出法です。
東洋医学の特徴は身体全体を診ることであり、それが「自然治癒力を高める」「未病を治す」ということに導かれます。身体全体を診るということは、身体全体を巡っているものを診るということであり、それは経穴(けいけつ ツボ)の流れである経絡(けいらく)しかありません。
経穴も経絡も視覚でとらえることも、解剖学的にとらえることもできない、未解明なものです。したがって、特別な技術でしか検出できず、それを可能にしたものがFTの技術と考えています。
科学的に解明されたものは病・医院にまかせ、未解明なものに対応できることが東洋医学の特徴であり、鍼灸師の価値と考えています。病院の検査で異常なしといわれても身体の異常を訴える方は東洋医学に目を向けて頂きたい。そして、経絡を調整できる鍼灸師に出会って頂きたいと思います。
入江塾門下生のみなさんへ
入江塾には鍼灸師のみならず、医師、薬剤師、歯科医師とさまざまな職種の方がいらっしゃいました。入江先生は後継者の育成をわれわれ門下生に託されていましたので、私も現在2名の鍼灸師とともに精度を高めることを目標に勉強会を開いています。
鍼灸治療において取穴は確実にしなければなりません。確実とはIP(イオンパンピング)治療で結線した後、百会、膻中、中脘、関元さらに大腿部がsmになるようにと教えられましたが、おおよそsmになったとしても他の部位(顔面・上腕・胸部・股関節など)にstが出現していれば取穴部位の修正が必要になってきます。2~3ミリの修正で大きくかわります。具体的には、肩こりを自覚していない方でも肩には反応が出ていて、肩上部はもちろん、鎖骨上窩の胸骨寄りそして肩関節寄りもsmになります。FTの精度が高まれば修正が可能であり、寺子屋お産塾(開設者は入江塾0期生・田中寿雄先生)で実践されている治療ができるのです。
多くの鍼灸師は妊婦さんの治療は危険と考え、対応することができません。経絡治療が確実であれば、不妊・つわり・逆子・安産・母乳トラブルそして産後の体調回復までお役に立てるのです。くわしくは寺子屋お産塾のHPをご参考ください。
後継者の育成にもご尽力下さるようかさねてお願い申し上げます。
不妊治療
多くの方は結婚後こどもができないとのことで不妊外来に通い、妊娠しないと思われる原因を指摘されます。そして治療内容も高度医療に変わって移行していきます。この流れにのってしまうと、不妊原因の推定が、絶対的な原因・決定的なものとして受け取ってしまうのではないでしょうか?又、まわりからのプレッシャーなどから心が傷ついてしまっているように思えます。
我々の若い頃にはバスコン(birth control・産児制限)という言葉がよく聞かれましたが、この頃はほとんど聞かれません。時代が変わった、つまり社会環境が変わったのです。まわりの方々はむかしのイメージで声を出しているだけで現状が分かっていないのです。
初診の時、目に涙をため訴える方も何人もいます。少しでも精神的ダメージを和らげるよう努力しています。身体をととのえるためには必要なことだから。
鍼灸治療では週1回のペースで3ヶ月もしくは6ヶ月続け、経血が変化することを目標にしています。40歳代では卵子の質が劣るといわれていますが、20歳代で不健康な生活をしている方より40歳代で健康的に生活している方のほうが卵子の質は良いと思っています。その理由は40歳代で初出産の方もいらっしゃいますし、体外授精の時これまでで一番上位のランクと言われ、妊娠された方もいらっしゃるからです。
子宮内膜の厚さ、卵子の大きさ、ホルモンバランスなども大事ですが、なによりも大事なことは体調を整えることであると思っています。
おなかが硬くないですか? 冷えていませんか?
恥骨周囲を押して痛くないですか? 張っていませんか?
足・腰が冷えていませんか?
疲れやすくないですか?頭が痛くないですか?睡眠不足では?胃腸の調子は?
いろいろとあるはずです。まずそれらを取り除くことから始めましょう。そして夢が叶うようお互い頑張りましょう。これが東洋医学です。
科学では考えられない特異な症例
H.18.3.11 初診 30歳 女性
H.13年結婚
H.15年けいりゅう流産の後、開業医に通い卵管が閉塞しているといわれ、総合病院での高度医療を勧められるも拒否
H.19.2.総合病院の不妊外来受診 左閉塞・右狭窄で自然妊娠の可能性ないといわれる
H.20.5.同じ総合病院で検査の結果、両側とも自然妊娠が可能といわれる
H.22.2.自然妊娠し、心拍も確認され、エコーで赤ちゃんが元気に動いている
卵管の問題で自然妊娠が不可能といわれた方が、鍼灸治療により卵管の問題がクリアーされたという事実は病院でも考えられないといわれた。現代医学ではそうであろう。特別な病気以外で閉塞が起こるのなら身体を整えることができれば治ると考えても不思議ではない。東洋医学の考え方である。
また、彼女は高度医療を拒み、子宮内膜の厚さ・卵子の大きさ・基礎体温・排卵日などにこだわっていたが、現代医学の情報があふれている現状ではいたしかたないかもしれない。当院では彼女の凝り固まった考えを和らげたり、否定したりしていたが、約4年通って夢を叶えられた。信頼されていたことはありがたい事だと思う。
妊娠した周期前までは排卵誘発剤・黄体ホルモンを投与されていたが、妊娠した周期は父親の入院で、頭の中から妊娠という文字が消えていたという。このことをいかに考えるか?
現実に妊娠したことで、これまでの考え方が間違っていたことも理解してくれた。これが不妊で悩む女性の姿かもしれない。
妊娠10週で出血し、お腹が張って脚が伸びなくて運転もできないと病院に電話しても「治療はできない、安静に」というだけで対応してくれない。母親に付き添われ当院でお腹の張りも消え、脚も伸びるようになった。経絡治療のみ。母体を治す、つまり胎児の外部環境を整えることは鍼灸治療で可能であり、そのためには確実な経絡治療が必要となる。現在15週で安定期を迎えようとしている。妊娠中は普段と違い、とてもデリケートになっているので身体の反応を注意深く観察しなければと思っています。
乳腺炎 35歳 女性
当院にはH.19.8.25 赤ちゃんを望まれて来院され、H.22.3.23 男児を無事出産された。
H.11 交通事故で骨盤骨折などがあり、妊娠時には帝王切開といわれ、逆子になった時には確実に帝王切開を覚悟するようにといわれたが、鍼灸治療にて逆子も治り、妊娠中の経過も良く、陣痛から分娩まで約4時間程度であった。自然分娩でしかも安産であったと喜んで頂けた。
H.22.4.26 乳腺炎で母乳外来に通うも効果少なく、乳房切開の予定があるので、何とかならないかということで来院。両乳房とも硬く、とくに右乳房外下方に石のような塊、外側全体は硬く、内側には発赤が認められた。
FTで診察すると主治経は腎経であった。使用した経穴は足の右大鐘(腎経)と手の左支正、手の右神門と足の左京骨をIPコードで結び、30分IP治療。のち背骨の反応点に円皮鍼を入れて終了。出産後の為か、主治経が腎経というケースはよくみられる。出産という大きな仕事のあとで、体力が消耗しているためと思われる。
第2回目 4.28 30日来院の予約が電話にて、抗生剤も効果なく、なんとしても乳房切開を避けたいとの思いから治療を希望され来院。前回の治療後母乳が良く出たとのこと。
主治経は胃経に移っていた。右豊隆(足)と左列欠(手)、右合谷(手)と左太白(足)にIPコードを結びIP治療。30分後背部に円皮鍼し終了。
第3回目 4.30 母乳外来にて切開は延期し経過観察となる。担当助産師もビックリしていたとのこと。母乳外来の隣に鍼灸外来があればよいのにと話されていた。
主治経は左胃経に移っていた。もう安心と思ったが・・・・・。
第4回目 5.3 休日なのに電話があり、右乳房内側に発赤があり何とかしてというお願い。切開を避けたいから仕方ない。主治経は右胃経。
第5回目 5.4 主治経は左胃経に戻る。
第6回目 5.8 乳房の塊および発赤消えている。
手と足に鍼をして、IPコードで結線することで乳房異常が消えることは、科学で未解明な経絡が存在している証明であり、体験した患者さんそして目の当たりにした助産師たちには納得して頂けるが、一般の方々には理解できないでしょう。しかしながらこれは紛れもない事実である。
助産師さんは鍼灸治療に関心をもたれたようなので、当院にて治療現場をみることをお勧めした。鍼灸師も医療従事者も正しい情報を発信する必要があるが、現実には鍼灸治療の認知度が低いということは鍼灸師として反省しなくてはならないという思いから2症例を報告しました。
経絡治療が正確に実践されれば卵管閉塞から自然妊娠にまで導かれたということ、そして一年に数例しかないという乳房切開の対象となるものも救われるという事実をお知らせするものです。
鍼灸師にとって治療効果は解っていても、経絡治療の素晴らしさはビックリするものであり、経絡治療の技術は多くの人々のお役に立つ大事なものであると確信しています。
最後に経絡治療を実践する鍼灸院に通われる時、治療前と後で身体がどんな変化があるかを感じて頂きたい。身体の変化がわかりづらければ鍼灸師に、何を目的に、どこがどのように変化するかを聞いて頂きたい。以上がみなさんに発信できる情報であり、お役に立てれば幸いです。